Pocket

先日『遺伝子vsミーム(著:佐倉統)』という本を読みました。
ミームという概念について面白く解説してくれている良書でした。

さて、ミームという概念ですがあまり一般的ではないような気がしますので簡単に説明しておこうと思います。以下の文では、私の誤った解釈が含まれる可能性があることに注意してください。

ミームは生命の進化論を考える際に遺伝子との類推で考えられた概念です。例えば、生命が進化していく際、遺伝子は前の世代から次の世代へとその形を変えながら伝わっていきます。それに対応して人から人へと伝わっていく文化伝達の単位を「ミーム(meme)」といいいます。文化伝達つまり、模倣の単位です。ミームは例えば「メロディー」や「服の流行」などがそうであるといいます。

遺伝子とミーム

遺伝子とミーム

次に、私が面白いと思ったミームの考え方についてまとめてみます。
ここでは遺伝子とミームの伝達の違いに着目してみようと思います。
上図は遺伝子とミームの伝達の違いを模式化してみたものです。遺伝子と照らし合わせたときのミームの大きな特徴は
1、伝達の双方向性
2、伝達の即効性
3、伝達の不完全性
であろうと考えられます。
このふたつによってミームの特徴を考えてみたいと思います。
(仮に遺伝子がこのふたつの特性を持ち合わせていたらどうなるのかを考えてみるのも面白そうです。)

1、伝達の双方向性から考えられることのひとつは「オリジナルの消滅」です。
ミームは人々の頭の中から頭の中への伝達単位として考えることができます。
それらの概念をメディアという箱に移し替えなければ(紙に記す等)それらの概念は相互干渉によって変わったものになってしまいます。
さらに、伝達が行われなかったとしてもそれらの概念は時がたつに比べて内容の変化が起こることがあると考えられます。

2、伝達の即効性や3、伝達の不完全性から言えることは変化のスピードが速いということです。
遺伝子は変化の過程で突然変異を起こすことによって進化してきました。
それだと、生物が進化するまでに少なくとも1世代はかかることになります。
さらに大きな変化が起こるまで数百万年単位です。
ですので、ミームはものすごい速さで進化します。
これは人類の文化の発展速度を考えてみると明らかであろうと思います。

このあたりが、「ミームって面白いなぁ。」と思った部分です。
うまく伝わらなかったかもしれませんが、
「人類文化の展望」を「生物進化」から類推するというのは大変面白い試み
であると思いました。

Pocket