就活でとてもお世話になった人事の方にお勧めされたので、『自分の小さな「箱」から脱出する方法』(著:アービンジャー・インスティチュート、監修:金森重樹、訳:冨永星)を読みました。
内容についてハッとする部分が多く、最近読んだ本で「最も痛いところを突いてくる本」だったので紹介したいと思います。
自分の小さな「箱」から脱出する方法
タイトルから察するに何らか「How To」本かと思いきやそうではありませんでした。
以下は内容の紹介です。
本書は、最近転職し管理職に就いた「ワタシ(トム)」と、転職先の上司「バド」との会話で構成されています。
舞台はもっぱら会議室で、そこで「ワタシ」の”ある問題点”について上司と話し合いながら物語は進んでいきます。
まさしく「ワタシ」のかかえる”ある問題が”本書のテーマであり、タイトルで「箱」と呼ばれているものです。
箱というとなんだかいかがわしいですが、要するに「自己欺瞞に陥った状況」、つまり
「自分の思い込みのせいで回りの人たちのことを、あるがままにとらえることができない状況」
のことです。(ひとまずの説明なので、詳細は本書を読むようにお願いします。)
この状況について理解を深めるということが全体の内容です。
本書では、会議室のワタシとバドといった人々との会話・議論を通して
- 自己欺瞞に陥った状況がどうしてまずいのか
- その”状況”にはどんなときに陥ってしまうのか
- その”まずい状態”からどのように脱出すればよいのか
- ”まずい状態”から脱出するとどんないいことがあるのか
といった点について明らかになっていきます。
読み進めるうえで、登場人物の「ワタシ」が読者の思考を補助してくれるので、とても分かりやすく読みやすいと感じました。
著者の工夫が感じられます。
内容に対する感想など
内容については、自分はものすごく「痛い」と感じる内容が多かったです。
日常で自分を裏切ってしいまう瞬間
本書の中で、自分を裏切ったときに自己欺瞞に陥ってしまうと述べられています。
※自分への裏切り:
自分が他者のためにすべきと思ったこと(感情)に背く行動をとってしまうこと
そして、会話の中で「バド」は日常における例をうまく出しながら議論を進めていきます。
例えば
- 遊びに行く約束をしていたのに、直前になってめんどくさくなり適当な理由をつけて反故にしたこと
- バスの隣の座席に座られたくないために、荷物をおいて「こっちに来るなアピール」をしたこと
- 無能な部下に対して怒りを覚えたこと
- 逆に、威圧的な上司に対して攻撃的な態度をとってしまったこと
などなど、日常生活のあらゆる場面を例に出して分析していきます。
最近の自分の行動とかなり重なる部分があり、胸をチクチクさせながら読み進めました。
きっと誰しもがそんな状況があるんだと思います。
自分への裏切りはどんなことを招くか
ワタシの抱える問題について話し合う場面でバドは
「いったん自分の感情に背くと、すべての思考や感情が、何をしようと自分が正しい、と主張しはじめるんだ」
と言っています。
これもとても心当たりがあります。
「先生から出された今日中に仕上げなきゃいけない課題、なんとなくめんどくさいから明日にしよう。」
といったときも、本当は今日中に仕上げなきゃならないのですが、そこで自分の感情に背いてしまったがために
「こんなむちゃくちゃな課題を出す先生が悪いんだ」
「そもそも、あの先生とはうまが合わない」
といったことを考えて、防御の姿勢に入ってしまいがちです。
それは本当に相手をあるがままの姿で見れているのかというと、見れていません。
このような状況は自力で抜け出すことが難しく、またこの状況に陥ってしまうと対人関係において様々な困難を生じやすくなってしまいます。
そういえばそんな状況って結構あったなと気づかせもらったのが良かった気がします。
自己欺瞞に陥らないためにはどうすればよいか
自分が気づかない他人に対する接し方を変えるためには、何らかの「きっかけ」が必要なのだと思います。
ワタシのきっかけは「バドとのミーティング」ですし、私の場合は「本書を読んだこと」です。
なんとなく変わることはありませんが、本書を通して認識は変わるかなと思います。
というか、回りの人たちにもぜひ本書で述べられていることを実践いただけると良いかなと思いました。
(まずは、自分が実践するところからですが。)
なんにせよ、今はまだ知識として仕入れた状態でしかないので、これから実践して実生活に生かしていきたいと思います。
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とにもかくにも、社会に出る前に出会えてよかった本だと思います。
本を紹介していただけてとてもラッキーでした。
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